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篩(数学)のお話

2018.02.26 00:21|カテゴリ:数学コメント(0)

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 第11回ロマンティック数学ナイトに登壇してきました!

 mathpowerで出張版のロマ数を体験したことはあったのですが予定もあって途中退出してしまったので、ちゃんと最後までロマ数を堪能(&登壇)したのは今回が初めてでした。準備込みで久々に数学を全身に浴びてるZE☆って感じで楽しかったです。
 しかし、社会人になった私は、あの手のイベントって元、取れているのかなぁと考えてしまう……(人件費諸々考慮すると赤字じゃないのかなぁ)

 ロマ数で用いたスライドはこちら↓になります。



 数論、特に素数周りの話となるとゼータ関数が有名ですが、数論のアプローチの仕方はそれだけではないということを伝えたい、という想いから始まりました。なので数学が苦手な人にもわかりやすく伝わるものを意識しました。数学書引っ張り出したり、自分のノートや修論を読み返したりして、「うわー、当時の自分、頭いいなー」とか思いながらスライドを作っていたんですが、気づいたらちょっと詰め込みすぎたかなぁっと。事前に(珍しく)発表練習もして、なんとか時間内に収まるようにしましたが、結構駆け足になってしまった気もしています。
 次回、もし登壇する機会があれば、今度は自己紹介したいところですね(笑)



 さて、今回の発表は自分の修士時代の研究に関わる発表だったわけですが、ぶっちゃけ篩法について勉強している人って少ないんですよね。自分の場合は修士のときにナイスタイミングでPrime Gapが進展したり、さらには「修士の研究、篩法どうよ?」みたいに勧めてくれた人がいたので、本探しとか論文探しには困らなかったのですが、独学でやるとすると何から手をつけていいのか、結構選択が難しかったりします。
 というわけで、これから篩法を勉強したい(もしくはざっくり数論に興味がある)という人の標になるよう、自分が学生時代に用いた数学書をつらつら挙げていきたいと思います。



Multiplicative Number Theory (Harold Davenport)

 学部4年のときにゼミで用いていた本です。私にとっては初めての洋書&初めての教授を交えてのゼミということで、すげぇ苦労しつつ、河東先生のゼミの準備の仕方を参考にして、頑張って数学に打ち込んでいました。ここで身についた数学の勉強の取り組み方やゼミでの発表の仕方は社会人になった今でもお世話になっています(前回記事参照)。
 話が逸れましたが、こちらの本はGTM(Graduate Texts in Mathematics)ということもあり、ゼミでもよく使われる解析的整数論の入門書です。素数分布の問題に対して、ゼータ関数やL関数の基本的な性質や関係性を学び、後半には三角和や大きな篩(Large sieve)、さらにはPrime Gapの議論には欠かせないBombieri–Vinogradovの定理等、篩についてもコンパクトにまとまっています。
 前提知識としては、複素解析をしっかり抑えておくのと、あとは群とか体の知識がある程度身についていれば読めると思います。学部3年までそんなに真面目に数学やっていなかった私が言うのだから間違いないです。



解析的整数論Ⅰ 素数分布論 (本橋洋一)

 Multiplicative Number Theoryは解析的整数論の全体像が見えてくる本であり、篩法そのものの歴史的背景を知りたいのであればこの本橋先生の本が良いと思います。ロマ数でのスライドもこの本を結構参考にしています。結構Multiplicative Number Theoryと被る部分は多いですが、篩に関するさらなる理解を深めたい場合は是非目を通しておきたい本です。私はPrime Gapを600に縮めたMaynardの論文を読むにあたって、この本を(篩に関する章だけですが)並行して読み進めていました。
 和書なんですが、ぶっちゃけ洋書より言語が難しいです。何言っているかわからないかもしれませんが、日本語が難しいです。そのおかげで行間を埋めるのもなかなか難しく、私は事前にMultiplicative Number Theoryを読んでいたからこの本もなんとか読めた感じはしますが、初見でこの本に手を出したらおそらく死ぬと思います。Amazonのレビューにもあるように、副読本を手元に置いておくと良いと思います。



Additive Number Theory The Classical Bases (Melvyn B. Nathanson)

 加法的整数論についての本です。第二部のタイトルは「ゴールドバッハ予想」であり、それに関わる様々な篩法が紹介されています。スライドに載せたBrunの手法もありますし、最後にはChenの定理の証明もあります(記憶が正しければ、評価の仕方が従来のものより若干緩いですが)。
 全部読んだわけじゃないですが、この本は分厚いこともあり、非常にこと細やかに書かれていて行間があまりありません。Appendixで篩計算でよく用いられる数論的関数もまとまっていて、初学者が篩について知るには良い本だと思いますが、同時に自分で考える部分が減るというデメリットもあるので、そこはトレードオフですね。



Sieve Methods (Heine Halberstam, Hans Egon Richert)

 篩法の本の古典的ポジション(らしい)。初版は1974年でこれもChenの定理の証明が最終目標になっています。篩を用いた計算はだいたいこの本の手法を使っていることが多く、論文での参考文献として出てくるので、参照用に購入しました。あとペーパーパックは3000円を切るという安さもポイントが高い(でも、当時自分が買ったときは2000円だった気が)。
 というわけで必要に応じて部分部分を読んでいた本だったわけですが、一部分を読むにしても、結構過去のページにある記号を参照しなければならなかったりして、辞書的に使うのには微妙に苦労した記憶もあります。それだけ、篩に関する情報が詰まっている本でもあります。



 他にも色々と読んではいますが、篩に関しては以上のうち、いずれかを抑えておけば大丈夫かなーと個人的には思います。もちろん、全部読む必要はありません(私も全部ちゃんと読んでません)し、どちらかと言うと読んでみたい論文を読み進めて、詰まったら上記の本を参考にしてみる、というのが良いのかもしれません。
 ぶっちゃけよくわからない補題も、一旦事実として受け入れてしまえば論文自体は頑張れば読めてしまいます。とは言え、それだと「どうしてここでこういう式変形をしたのか?そもそもなんでこういう計算をしようと思ったのか」といった理由が見えてきません。ここをしっかり言語化するために、篩に限らず数学の歴史を知り、その考え方を吸収するのが大事だと思っています。そのための参考書です。

 最後に、参考書ではないですが、論文を。



Small gaps between primes (James Maynard)

 スライドや文中に出てきた、Prime Gapを600に縮めたものです。Zhangのアプローチは確率論の知識とか必要そうで私はまったく読もうとしなかった(たぶん現在の知識ではまったく読めない)のですが、Maynardの方は(気合があれば)案外読めてしまいます。私の修論の結果はMaynardが用いた多次元篩を別のものに応用して導いたものなので、この論文は本当にボロボロになるまで読み込みました。修論書き終わった今も「この篩を使って、もうちょっと別の結果出せる気がするんだよなぁー」とか思ってはいるのですが、なかなか検証の時間が取れない忙しい日々を送っております。

 Prime Gapに関しては大きく進展が産まれた2013年以降、なかなか次の大きな結果が産み出されていない状態ですが、このページを読んだ誰かが次なる結果を導いていることを期待しております。まぁ本音を言えば、自分で次なる結果を産み出したいという欲はまだまだあるのですが、他にもやりたいことがありすぎるので自分の中の欲望リストを順々に消化するところから始めたいと思います(笑)

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ねっしー

Author:ねっしー
個人サークル『Next Nexus』で活動(予定)
元『それは割れません。』
絵描いたり、小説描いたり、数学やったり、日常のどうでもいいこと綴ったり。


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